ありがったかった店 ~御茶ノ水 明神そば~

高校1年のとき、御茶ノ水まで駿台予備校に通っていた。金はないが腹は減るのが当時でラーメン屋の600円はなかなか使えなかった。そんな時、かけそば200円にネギ大盛りをサービスしてくれた「そば明神」が御茶ノ水にある。

 

 

仕事で御茶ノ水駅に降りた。待ち合わせまで30分ほどあるので、暑いがブラブラ散策。すっかり様変わりしながらもポツポツと懐かしい店が残っている。

 

 

あぁ明神だ。変わってないなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ん?ん!7/20 午後2時で閉店?20日って今日じゃないか!と思った時は入店していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

昔はなかった券売機が鎮座。かけそばを、と思ったがふと「明神そば」が目に入った。高校時代は買えなかった贅沢な一杯。躊躇なく520円のボタンを押した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんという豪華さだ。きつね、たぬき、豚肉にワカメにゆで卵。ずいぶん俺も出世したものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずは汁を一口。これだ!ガツンと強烈なしょう油味が舌と喉を通る。先日赴いた富士そばの汁と共通点はあるが、パンチ力は明神が上。でも塩っ辛いとはなぜか思えない。

 

 

理由が分かった。厨房をふと見ると、鰹の荒節と思えるものがある。この出汁が強烈な返しを受け止めていたんだな。

 

 

高校時代に好きな味だ。そばを一杯食べたという充実感を得られる。ボーッと丼を眺めていたらハッと我に帰り、ズルズル。

 

 

食べ進めて茹で卵に到達。きょうびの半熟トロ〜リ卵をあざけ笑うような、完全に火の通った黄身に出会う。速攻で半分になった黄身を汁の海に落とし、すぐに救出。旨い。

 

 

たぶん、麺の茹で機にダイレクトインして作るのだろう。昔は外まで行列ができていた店だけに、くふうが感じられる。ノスタルジーに浸りながら完食。

 

 

出際に、今日で終わっちゃうんですね。とても残念です。と店主に告げたら、ウンウンと頷かれた。植竹が「ありがとう!」と声を掛けて外に出た時、3人の従業員が揃って、「さようなら!」と言ってくれた。

 

 

こみ上げるものを抑え、本当にごちそうさまでした、今までありがとうございました。と呟いた。

 

 

株式会社チームのちから
代表取締役 植竹 剛