キャバレーの”客引き”極意

こんにちは!
アルバイト活用コンサルタントの
植竹剛です。

大学時代にいろいろなアルバイトを経験させてもらいました。
ウソではなく、今日のテーマもアルバイトをしました。

今の法律などと照らし合わせてみると、完全に違法です。(苦笑)
「客引き」に関わる、迷惑防止条例違反です。

時効ということでお許しください。

給与は完全歩合制の日給でした。ただ立っているだけでは収入は0円です。
「自分が引っ張った」お客様一人に付き、1,000円をもらえます。
40代以上の方はイメージできると思いますが、格好は「ハッピ・ハチマキ」です!

最初はまったく勧誘できません。
先輩ボーイのAさんは金曜日・土曜日の2日間だけで何と50,000円以上の手取り。
とにかく観察してみることにしました。丸2日間かかりました。
当然、ノウハウは教えてもらえません。先輩と私はライバルでもあるからです。

■ 30代サラリーマン風の方、1名 ⇒ サラッと「マッチ・ライター」を渡すだけ

■ 30代サラリーマン風の2~3名 ⇒ 中央の方にピンポイント声掛け

■ 40代以上サラリーマン風の方、1名 ⇒ 女の子と店内の写真を見せる。ねばる。

■ 50代以上サラリーマン風の方、1名 ⇒ とにかくねばり倒す。100m先まで。

戦術が微妙に違うのです。
上記のような型通りだけではなく、声を掛ける相手によって細かい部分で
心をくすぐっているようです。

お客様予備群の方は最初に言い寄られると、「ハイハイ、いいよいいよ。帰る帰る」
でも10秒ほど話すと、「エッ?本当?」と足が止まる方も。

この会話術を盗もうと近づくと、「こっち来るな!」で追い払われます。

別の先輩ボーイBさんに聞いてみました。

わたし:「どうしてAさんはあんなにお客様が取れるんですか?」
先輩B :「あ~、あいつ頭いいからな。声掛けた人の特徴を覚えてるんだよ」
わたし:「えっ!だって毎日何百人て声掛けするじゃないすか!」
先輩B :「何か教えてくれないけど、覚える方法があるんだとよ!」

営業が終わった後、夜食でラーメン屋さんに行きます。
丸2日収入0円。でも「おごりますから」で、誘い切りました。
おいしそうに瓶ビールでノドを湿らせます。

わたし:「先輩って、何百の人の特徴を覚えてるんですか?」
先輩A :「うん、まあね」
わたし:「どうやって覚えるんですか?」
先輩A :「う~ん」

わたし:「いや~じらさないでくださいよ!」
先輩A :「オヤジ!ぎょうざ!」
わたし:「(どんだけ頼むのかな・・・)」
先輩A :「俺が、その人の特徴で一番興味を引いた部分を憶えるんだよ」

わたし:「なるほど。でもそれだけでは・・・」
先輩A :「確かにな。経験の長さもあるけど、あとはそもそも入店したい人が分かるんだよ」
わたし:「何かの雰囲気を出してるってことですよね」
先輩A :「そうそう。あとはいかに俺のことを覚えててくれてたかだな」

わたし:「どうやって覚えててもらうんですか?」
先輩A :「さっきの逆だよ。俺の最大の特長は?」
わたし:「あ、はい。前歯が1本無いことです」
先輩A :「それだよ。近づいたとき、『どうも!』で『二カッ!』だよ」

わたし:「・・・」
先輩A :「お前の特長は何だと思う?」
わたし:「なんでしょう・・・」
先輩A :「目ん玉と声のデカさだよ!」

わたし:「あ・・・まぁ・・・」
先輩A :「武器作らないとこの商売やってられねぇよ。俺、前歯ゼッタイ入れないよ」
わたし:「分かりました!とにかく声を張り上げます!」
先輩A :「ちげーよ!声のギャップを使ってみな

わたし:「ギャップですか・・・」
先輩A :「声の大小、通る声、かすれ声、ささやき、入店時のご案内の声は『ラ音』で」
わたし:「ラ音ですか?」
先輩A :「そう、ラ音。おれラ音好きなんだよ。歌ってみ。ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド」

わたし:「あ、ラ音が一番声が通ります」
先輩A :「だろ!」
わたし:「はい、ありがとうございます!」

プロだな~と当時感じました。
今でもそう思います。
技術ではなく、発想がです。
工夫のかたまりみたいな方でした。

このAさん、フリーターの「はしり」、つまりアルバイトでした。
アルバイトを活用することでこのキャバレーはすごい額の利益を
得ていたはずです。

そして「ラ音」は人の心理を高揚させる
科学的なデータがあるようです。

Aさんはそのような根拠を知ってるはずもありません。
すごいセンスです。

当初の動機は自身の手取り額を上げるためだったでしょう。
でも途中から心の変化があったはずです。
「働いていて、楽しい」感情のはずです。

Aさんには一回も勝てませんでしたが、ラーメンを
おごってもらうようになりました。

本日も最後までお読みいただき有難うございました。

アルバイト活用コンサルタント
植竹剛