障がいを知る4 息子の場合2

「もううちで続けるのは難しくなった・・・」。社長からの諭旨解雇宣言だった。

 

 

「3月末でどうでしょう?」

 

 

考え抜かれてのご決断であろうと瞬間的に察知した私は、「わかりました。1年間お世話になりました」と一言お伝えしその場を辞した。

 

 

帰路の車の中で息子は何かを感じ取ったらしく、「おとうさん、ラーメンのおしごとやめなきゃいけないの?えぇっ!イヤだな~、ラーメンのおしごとすきなのに~」

 

 

雨の日も風の日も自転車で片道20分掛けて週5回。てんかん発作以外、一日も休まずに出勤していた頃。「きょうもまかないでラーメンをオオモリにしてもらうんだ!」とはしゃいでいた顔はとても嬉しそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カイ、お父さん考えたんだけどさ、水泳をきっちりやってみないか?どうせ頑張るならパラリンピックを目指そうじゃないか」

 

 

と話の矛先を変えても、「え~、ラーメンやめるのイヤだな~」とめずらしく食い下がる。

 

 

「カイ、でもこれは仕方がないことなんだよ。カイがラーメンじゃなくて水泳になったら、もっと喜んでくれる人が増えるとお父さんは思うんだ。どうだい?」

 

 

(カイがいることで迷惑が掛かるから、仕方がないとは言えなかった)

 

 

「う~ん、そっか。じゃぁすいえいがんばる」

 

 

「お~いいね~!ラーメンは他のお店も美味しいトコいっぱいあるしな!また行こう!」

 

 

「うんうん!ラーメンおいしい!たべにいこういこう!」

 

 

(ホッ。単純でかわいいヤツ。でも何とか自信を付けてもらわないとな・・・)

 

 

食べること、日本の鉄道、水泳が好きで、さらに最近はバーチャルタレントKizuna AI(キズナアイ)もお気に入りだ。

 

 

とにかく息子には、「好きなことで楽しく」過ごしてもらいたい。それで何かの結果が出ればなおさら嬉しい。

 

 

ここから、息子が16キロの過酷な減量に挑んでいくことになる。続きは明日。

 

 

株式会社チームのちから
代表取締役 植竹 剛